2011/07/02

AN ESSENTIAL OF THE WEEK: 002

「旅の途中」

10数年に渡る愛読誌であったSNOOZERが廃刊した。

ひとつの歴史に幕が下りた。


終刊号の表紙は、
期待を裏切らずにくるり。



初刊号から欠かす事なく読み続け、
音楽的な嗜好のみならず、
へそ曲がった己の人格形成にも多大な影響を与えたスヌーザー。

創刊期に現れた、97年世代と呼ばれたミュージシャン、バンド達。
中村一義、スーパーカー、number girl、wino、pre-schoolなど、
当時の代表的な97年世代アーティストの中で、
あまり目立たない存在だったくるりはしかし、
解散し、伸び悩む他バンドを尻目に、成長・発展を続けて今日に至る。

終刊号の表紙になってしかるべき、と思う。


例えば、他のバンドやミュージシャンを呼ぶ時に「アーティスト」という名称が相応しいなら、
くるりはより「デザイナー」という呼び方が合う気がする。

「売れる事が一番の目的ではないが、売れるに越した事はない」
という様な発言や、
純度を薄めることなく、多くの他者と繋がり、
音楽を通して、社会に価値や文化を築こうとしているように見える、
その姿勢。

メンバー編成を変えながらも、様々なジャンルの音楽を雑食的に取り入れ続けるその姿勢に、
サバイバビリティと学び続ける技術を垣間見る。

この、サバイバビリティと学び続ける技術こそが、
サスティナビリティへと昇華しているのだろうな、と思う。


3人バンドから、4人バンドへ、そして長きに渡る2人体制を終え、
今後5人組バンドとして活動をするくるり。

2人体制の忘れ形見としてリリースされたのが、
2枚目のベストアルバム「TOWER OF MUSIC LOVER 2」。


5曲の新曲入り。

感傷に浸るべく聴いたものの、特に新曲2曲「奇跡」と「旅の途中」のポジティブなメッセージに、
次からの5人バンド編成に胸が躍る。


そんなくるりを最終号の表紙に持ってきたスヌーザー。
号の内容も、えらくあっさりした終わり方なのも、非常に“らしい”が、
それもまた「旅の途中」だからなんだろう。

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