寒さに耐えられずうろつく浮浪者。
ホテル街の片隅。青い看板。
込み上げる熱気。地下2階の喧噪。
ステージに前のめりになる観客。
バリトンの様な声で、響き渡る様な声で、
でも静かに、諭す様に観客に語りかけるMC。
「明けたぞ。
始まったぞ。
待ったなしだぞ。
109めの鐘を鳴らすのはオマエだ。
迷う事をやめるな。
彷徨う事をあきらめるな。
失ったものを忘れるな。
何かを得る為に、何かを失う事を恐れるな。
かじかんだ手に、生暖かい息を吐く暇があるなら、敵を殴って暖めろ。
しびれた足先を暖めたいなら、ただ進め。
20年後をぼんやりと、
5年後をしっかりと見据えろ。
sustainabilityに唾を吐け。
survivabilityを持って生き抜け。
今日のこの日を、この瞬間を、この一語一音を繋ぎ、唄おう。」
静まり返る観客。
地を這う様なドラムとベース。
熱狂。絶叫。
目を閉じて、
再び開けると、
もうフロアは伽藍としていて、
階段を上ると空は明るい。
定まらない足元で、
行く宛てもなく歩き始める。
そんな夢を見た。
0 件のコメント:
コメントを投稿